2012年1月19日木曜日

病院総合医セミナー@京都:1月14日

14日(土)に日本プライマリ・ケア連合学会 病院総合医部会が関連する、
「病院総合医として期待される医師像」 という、病院総合医セミナーがありました。 http://www.primary-care.or.jp/medical/index.html :ここから結構いろんな情報が得られますよ!

セミナーは、1:基調講演 2:シンポジウム 3:症例検討会 の3部構成になっていました。
さて、会場は200人が定員の会場でしたが、結構満席に近い状態でした。
ビックリするのがその参加者です。北は北海道 (少なくとも4人の先生を見かけました!) から南は沖縄まで、そして医学生から、全国大学病院の教授陣 (少なくとも5人はおられたと思います) がおられました。
また市立舞鶴市民病院の数少ない同僚や上司、市立堺病院時代の先生、以前にいろんな形で関わった先生や今後関わりを深めていく先生など、本当にたくさんの方が来られていて、関心が高い領域なんだなぁと感じました。

【第一部:基調講演】
「ホスピタリスト ~病棟診療のコンダクター~」 という演題で、現在米国におられる石山 貴章先生からのお話がありました。
石山先生は、週刊医学界新聞に 「Real Hospitalist」 という連載もされています (リンクからも見れます) し、昨年のJIMにも論文がありました。
米国と日本の医療事情が異なることがありますが、米国では「Hospitalist」という概念や学会の存在、それに従事する医師数が多い (循環器内科と同数・・・といわれていたような) ので、先人から学ぶことは重要かと思いました。
ただ、総合○○という分野に共通していることは、定義がしにくい、ということと、求められていることがそれぞれの場所で異なることが、あります。
その場で 求められていることができる能力を持つこと発揮できる環境を整えること で、求める側 (顧客という概念:マネジメントの本にも出てきますが、石山先生も使われていました) の満足度を挙げることになってくるのかなと思っています。

【第二部:シンポジウム】

日本型ホスピタリストモデルの構築に向けて:大学病院モデル 大病院モデル 中小病院モデル というシンポジウムでした。
中小病院モデルとして、市立福知山市民病院 総合内科の今までのことをしゃべらせてもらいました。

が、 与えられた時間は、わずかに10分。言いたいことはたくさん・・・ で、難しかったです。
1スライド1分という原則は頭にあるのですが、完成スライドは28枚! (最初や最後のスライドもありますが)。いかにコンパクトにインパクトを与えられるか、を考え、また読めないものは配布資料で、とし、最初に「早口でしゃべります!」としちゃいました。

途中で笑いも得られてよかったですが、ヤッパリ10分をちょっと超過しました (すみませんでした)。

伝えたいことは、いつも通りのことで
 ◇ 専門医 が働きやすい 病院
 ◇ 総合内科医 が活躍できる 病院
 ◇ 研修医 が活き活き働ける 病院 このバランス(尊重関係)を執るには、Topのコントロールがあってこそ!ということや                  

地域基幹病院における総合内科医としては
 ◆(臓器別)専門医の 負担軽減
 ◆ 総合内科 の専門性 (臨床面)
 ◆ 医学教育 (臨床現場における)
 ◆ 地域の診療所 との 窓口といったことが、Key wordになるということを伝えました。

この3年間の変化については
西谷重紀先生がまとめられた、「臓器別専門医からみた地域基幹病院における総合内科について」と西山大地先生がまとめられた、「地域基幹病院における研修・教育の取り組みと見学・実習生の推移」(ともに2011年07月に北海道であった第2回日本プライマリ・ケア連合学会でデジタルポスター発表)や、香川惠造院長がまとめられた「医療マネジメントを駆使した地域医療の活性化」日本医療マネジメント学会雑誌 Vol12 148-155:2011(当院主幹 マネジメント学会での学会長講演をまとめられたものです)も引用させてもらいました。地域診療所との視点という意味では、川城麻里先生の論文も重要かと思っているのですが、紹介する時間がありませんでした。
川城麻里:家庭医が病院総合医として勤務する際のメリット 特集 病院総合医 免許皆伝 JIM 21:656-657,2011

あとにもつながるのですが、将来、家庭医療を目指している、救急医療を目指している、医師が急性期病院、しかも地域最終病院で、総合内科医として勤務することには、お互い (もっとそれ以上にかかわる人の多く) とWin-Win (-Wn-WIn・・・) の関係が創れるのではないかと思っています。そういった志のある人が、もっと集まってくるとより良くなるなるんではないかと楽しみにしています。

自分が話していることが美辞麗句でないことは、会場に当院のスタッフ+次年度来られる予定の専攻医が保障してくれる・・・でしょうか?
過去にも、このあたりに関することは発信してきているつもりなので、興味のある方にみていただければと、思っています。

以前のブログに記載分+α
川島篤志:総合内科のロールモデルを目指して ~臨床研修と教育による地域医療への貢献~ 特集 どう発展させる病院総合医 【病院総合医 地域病院での役割】 病院 70:128-130,2011
医学界新聞の座談会:もっと知りたい「病院総合医」 病院のジェネラリストという働き方
http://www.igaku-shoin.co.jp/paperDetail.do?id=PA02935_01
川島篤志。研修医教育のプロのホスピタリスト・リーダーシップ。日本プライマリ・ケア連合学会誌 2010;33(3):172-173 古いですが、自分自身が市立堺病院在籍時の発表スライドもネット上に掲載されていました:考え方は基本的に変わっていないと感じました:http://a-youme.jp/wakate/sym01/index.html

会が終わってからも嬉しい声掛けもしてもらえたので、ちょっとは良かったのかと思います (自画自賛?)。

言い損なったこととしては・・・
今回の会のはじめに、臨床研究の話も出ていました。
総合医にとって、診療・コミュニケーション・メンタリングに加えて、臨床研究の視点も持ってください!という、京都大学大学院医学研究科 社会健康医学系専攻 医療疫学分野 福原 俊一教授からの熱いメッセージでした。
臨床研究に関しては、臨床医としては正直高いハードルに感じるのですが、当院には臨床研究の素地をもっている和田幹生先生と川島に加え、次年度からは臨床研究にも興味を持ってくれるスタッフが2人加わります:この4月に福原先生が関連する 「臨床研究デザイン道場」 にも参加予定です。
素地がある人が集まるとディスカッションができますし、臨床のフィールドとマンパワーがあるという強みがあるので、あとは頑張って発信するのみだと思います【 といって、自分 (+和田幹生先生) に足かせをつけちゃいました・・・】。

その後のシンポジウムでの討論も、身の入った熱い議論だったと思います。
総合内科の立ち位置、病院・施設の規模の問題、設立の工夫、人集めなど、いくつかヒントになることがあったのではないかと思います。
教育というのが大きな柱になりますが、その教育方法などについてのコメントもできませんでしたが、自分としては自分自身が編集に関わった 「研修医をひきつける病院づくり」 は少しはお役に立てるのではないかと思います(宣伝っぽくってカッコ悪いですが)。

シンポジウムのなかで、「病院総合医養成プログラム認定の試行」についての説明も行われました。今後、当院としても手を挙げたいなと思っています。
なかなか難しいことがあるかと思いますが、長年、この分野に関わっている立場としては、徐々に力強い歩みを踏み出していると実感しています。
(ちなみにフロアからの質問で、 「なかなか前に進んでいないように感じます」 という発言がありましたが、みんなが前に進んできていると実感するまでにはもう少し時間と努力がいるのだろうなとも思いました)。

【第3部:症例検討】
実は最後の症例検討は、あの 「京都GIMカンファレンス」 の実演という形になりました。
大きな会場でどうなるのかなぁとも思いましたが、プレゼンテーション側(天理よろず病院)と司会進行の酒見英太先生(洛和会音羽病院の先生で NHKのDr.G にも出演)と松村理司先生(同院長: Dr.G の監修をされていた市立舞鶴市民病院時代からの恩師)が会場の聴衆をうまくのせてくださって、熱い議論になりました (ちなみに会場には他にもDr.G出演者が数名おられました!)。
症例も大変興味深いものでした。配布資料がなかったので、病院に持ち帰り・・・はしにくかったですが、またフィードバックはしたいと思います。

今回はちょっと熱い(暑苦しい?)コメントになっちゃいましたが・・・ ここが本職でもあるので、ご容赦を!

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