2012年2月6日月曜日

第13回日本医療マネジメント学会学術総会 記念教育講演会@福知山:2月4日(土)

第13回日本医療マネジメント学会学術総会の記念教育講演会が福知山でありました。

実は、参加まで会の趣旨を理解していなかった・・・のですが、実際のところは、学術総会が当院が主管であったために貴重な講演会を聴けなかった職員(+看護学生さん)のために、貴重な講演を拝聴する機会を設けていただいた・・・という感じでした。スゴイことです!

その教育講演は、当院にとって (おそらく多くの病院にとって) 重要な話題ばかりで、当院の多職種にわたる職員さん+看護学生さんの相当数の参加がありました。
こういった話を院内の多くの人が聞く機会があれば、院内の文化も変わっていく可能性があるんだろうなと末席で感動してました。

さて、その内容ですが・・・
1: 地域連携における退院支援・調整の役割
 :高槻赤十字病院 退院調整看護師長 原田 かおる先生

題名からして、急性期病院には必要な問題だと思っていました。
講演のなかでもありましたが、介入の必要な患者さんに相当する方 (スクリーニングシート?もあるようでした) は内科系では総合内科で担当している印象があり、当院では早期からMSWさんに介入をお願いして助けていただいていたり、それなりにチーム内でも整理をしていることかと思います。

ただ、今後はもっと早期からの介入 (当院に来る前からの介入) ということを 地域全体 で意識していかないと難しい問題だと感じています。
医療における、医療者側と患者さん側、そして患者さんの家族側の情報共有が求められると思いますが、どのように実践していくか・・・ 行政の関わりも必要になってきそうですよね。

さて、 退院調整看護師長  という役割もあることは驚きでした。当院でも・・・でしょうか?
また様々な診療報酬に関しては、恥ずかしながら医師はやや鈍感です(特に勤務医・若手医は・・・)。
こういった部分もサポートしてくださる(取りこぼしのないように)して下さる事務の方の存在は貴重だと思います。
前任地では、医療の現場・最前線にいる医療者が愕然とする取りこぼしがあったことを思い出しますが、本当に残念な話でした。

2:脳卒中における地域医療連携の現状と将来像
:香川県(うどん県)厚生農業共同組合連合会 代表理事理事長の藤本俊一郎先生

これも当院には大事な話・・・ではあったのですが、なかなか実践が難しいIT化関連の話でもあったと思います。
問題点を解決するときに、それに関わる人( Stake Folders と表現することもあります)のことを考えないと難しいのだと思います。
講演の中でも、Win-Win-Winという文字が見えましたが、全員にとって負担なく、メリットのあるものということが重要なのだと、改めて感じました。
また講演のなかで印象的な言葉であったのが、 『交付金の切れ目が地域医療の切れ目』 的なお話しもされていました。こういった事例は正直、よく見かけています。
関西広域連合における (?) ドクヘリ事業もこうならないように、また予算についても行政の冷静な判断と医療者の真摯な申請を期待します (年度末の道路補修工事のように、予算のための工事・・・にならないように、と思います)。

3:チーム医療におけるノンテクニカルスキルの重要性
:大阪大学医学部附属病院 中央クォリティマネジメント部 部長 中島和江先生

中島先生はこの領域では本当に有名な先生で、以前、 『医療安全における教育手法の探求』 という報告書もいただいたことがあります(ICLSという急変時対応のOff-the Job Trainingのコースのインストラクションに関連して、公立南丹病院の計良 夏哉先生経由でいただいた貴重な本です)。
内容はお話やスライド、全体を考えた時間構成など素晴らしい発表でした。
Speak Up:声かけ の重要性もありましたが、臨床研修の話でも  『 相談しにくい指導医の存在自体が、医療安全上問題です 』 と、当院にも来ていただいた寺沢秀一先生も言われていたことを思い出します (2012年06月にも再度来福いただけます!)。
なかなか若手や医師以外からSpeak Upしにくいとは思いますが、本当に重要なことでもあります
(自分自身がSpeak Upしにくい存在に・・・なっていくんでしょうね・・・:注意します) 。

4:チーム医療       :公益社団法人 日本看護協会 会長 坂本すが先生

チーム医療から、看護師さんの役割についての政治的な経緯も含めて興味深いお話でした。
全体では質問しづらい状況ではあったのでしませんでしたが、看護師さんの医療行為の拡大に関する話など、とても重要かと思いました。その一方で、看護師の待遇改善の話も併せて、行政に訴えてもらいたいなと思いました (おそらくされているのではないかと思いますが・・)。
急性期病院が疲弊・破綻しているなかで、医師・看護師を含めた医療従事者が疲弊・破綻してはいけないと思います。
自分自身は、元々は家庭医 (まだ馴染みの浅い専門領域かもしれませんね) 志向ではあったのですが、地域基幹病院がこけてしまっては地域医療が成り立たないという思いで、病院総合医を生涯続けてみようと思って、今ここにいます。
が、同様に、地域基幹病院で夜勤対応をする看護師さん、救急診療を行う看護師さんの存在(そしてそれ以外の山ほどある業務も支えている看護師さん)がなければ、地域医療は成り立たないことになります。

勤務医と診療所医の待遇の話は、どこに真実があるのかわかりませんが、それなりに差はあるように思います。ただ、今は急性期病院の勤務医の処遇と同様か、それ以上に看護師さんの待遇が重要になってくるのではないかと思います。無い袖を振ることはできないのだと思いますが、急性期病院の経営が安定し、急性期病院、特に地域最終病院の夜勤に関わる看護師さんたちの待遇改善を、医療者や地域、国民全体で考えていかなければ、地域医療は成り立たないことを再認識しました。

医療従事者間での議論、行政を含めた議論、国民を含めた議論、みんなで冷静に問題点を俯瞰的にみれることができればいいなと思っています。

さて、会が終わった後は懇親会・・・がありました。
比較的お手軽な懇親会費に対して、美味しそうな料理が並んでいた・・・のですが、当直業務があったので、泣く泣く(?)ダッシュで帰りました(外科当直の先生も当直にも関わらず、講演会に参加されていました)。

残念ながら・・・その日の当直は、引き継ぎの時点から比較的軽症 (+入院も3例) が延々と続く休みない救急になりました(看護師さんは24時の時点でも夜ご飯が食べれず・・・)。
皆さん、お疲れさまでした。

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