2014年9月7日日曜日

t-PA治療のシステム構築:2014年度

繰り返しになりますが、09月01日(月)から
◆ 地域救命救急センター棟が運用になりました!
 http://fukugim.blogspot.jp/2014/08/0829.html
 地元紙 両丹日日新聞の09月01日の記事より:http://www.ryoutan.co.jp/news/2014/09/01/008251.html
◆ 地域医療教育推進事業が始まりました!
 http://fukugim.blogspot.jp/2014/09/14-090105.html

当院に来られた医学生・看護学生の皆さんも、
地域医療での 「 高度医療(機器)の不足 」 を心配していましたが、
高度医療が何なのか?は、皆さんの意識の問題(+マス・メディアの悪影響?)です。 
再生医療もロボット事業も、地域基幹病院に必須のものではありません。

ただ、緊急疾患への対応(消化管出血・心筋虚血・脳虚血など:専門用語ですみません)は、
地域として必要ですし、頻度も少なくありません(むしろCommon Diseaseです)。
 
実際は機器の不足はありません。
先進諸国内で日本の医師不足は知っている方もおられるかもしれません。
が、 CT/MRIの保有台数は圧倒的に多い のです。
重要なのは、その機器を扱う(判断する) マンパワーの不足 です。
※ この記事をどう読むか?でしょうか? http://www.seikatsusyukanbyo.com/calendar/2010/000386.php

前述の医師不足の統計における医師数も、医師免許保有者でのカウントされるので、
Retireしている方、休業されている方も含まれますし、
診療所や病院・行政機関などの医師もわけられていません。
つまり、急性期病院で緊急対応する医師数が多いとは限らないのです
:きっと少ない・・・ことは理解いただけると思います。
t-PA治療に必要な”機器”は採血結果・頭部CT/MRI・そして薬です
:これを揃えることは難しくありません。
本当のt-PA治療に必要なものは、 ” マンパワー ” であり ” 時間 ” です。
※ 施設認定基準というものもがシッカリと定められています。

さて、08月09日に京都府南部脳卒中診療連携の会@京都で、鈴木 龍児先生が、
当院におけるt-PA治療のシステム構築の経緯
というお題で発表して来られました。
◆ 脳神経外科 村上 守先生は残念ながら出席できず
◆ 北川 昌洋先生はこのあとに当院での災害事例の発表をされたそうです。

そうなんです。
当院で脳梗塞超急性期治療である 血栓溶解療法 (t-PA療法)に対応できるようになりました。
これはとても画期的なことです。
講演スライドも見せてもらったのですが、
実はこの案件に関しては、適応症例は本当に少ないものの、
当院・当地域における以前からの懸念事項で、2013年04月から本格始動しました
(自分たちは総合内科のmemberであり、神経内科医でも脳外科医でも救急医でもない立場での出発でした)。

2013年05月に舞鶴への勉強会に出席し
(決して前々任地時代の馴染みのお鮨屋さんに行きたかったというわけではありません)、
院内でのシステム構築への一歩を踏み出しました。

その後、脳神経外科 太田 努先生と非常勤医師 神経内科 渡邉 明子先生のご指導のもと、
救急室の看護師さんや放射線技師さん、検査室とも協議を重ねて、
当院から近隣医療機関搬送に向けてのマニュアル(”モード”と呼んでいます)
作成・改訂を繰り返しました。
2013年12月、2014年03月には、
鈴木 龍児先生+救急の看護師さんの手のひら(掌)で転がされるように、
シミュレーションも行い、そのたびにマニュアルのVer↑がはかられました。
第1回の緊急呼び出しシミュレーション後の写真
これは『もしかして症例前』のブリーフィング:2014年03月
そして、2014年04月に脳神経外科  村上 守先生が赴任され、
当院でもt-PA療法が可能かも、という話が舞い込んできました!
これは当院にとって、当地域にとってものす凄く大きなマンパワーの増大でした。
当院での治療となると、入院後の対応も関わってくることになり、村上先生を中心に、
地域救命救急センターの北川 昌洋センター長や蝦名 りか看護師長を含めて、
幾度となく、検討を重ねられたようです。
その後、いつか遭遇する状況に対して、
 看護師向け、総合内科医師 (=日中の内科系救急の主軸) 向けだけでなく、
 院内全体・内科医全体・地域の救急隊・地域医師会の先生に対して、
繰り返し繰り返し、講義を開催 していただきました。
04月17日の院内全体への説明会後・・・だと思います。
そして、2014年度も半年を過ぎようとしていますが、既に数例の対象症例もありました。
2014年度の対応例:拡大しても識別できない画素数ですが、
ボードが工夫されているのが何となくわかるでしょうか?
入院後の対応に関しても、
総合内科memberがバックアップにはいる環境(入院後24時間は大変です!)を整えたのですが、
徐々に 看護師さんもPower Up してきて、本当に心強いと思っています。
t-PA治療
言葉でいうのはとても簡単ですが、
その実践に対して、多くの人が多大な労力を費やした結果のことであって、
決して器具を備えれば済むものではない、
地域にとっての高度医療であることの象徴だと思っています。
今後の t-PA治療 をより充実させるために必要なことは、
 院内にも山積していますが、
 実はこの医療を受ける側(患者さん+ご家族さん)や
 当院に搬送される側(患者さんをFollowをしている診療所の先生方)にも、
ご理解いただきたいことがたくさんあります。
地域基幹病院と診療所、住民の方が一緒になって、
より良い地域医療を展開することができれば・・・と思っています!
緊急速報!
この取り組みについては、近日中に執筆されることになると思いますので、お楽しみに!

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